第2章 親睦を深めよう作戦
「それで。新兵の噂がなんだ。」
「え? ……あぁ、そうでした。」
名前騒ぎですっかり忘れていた。
アイリーン自身が振った話題を、思い出しながら話始めた。
「壁外調査が近づくにつれて、新兵達が不安を表に出し始めている、と。それで、なんというかその……。強姦まがいのことをする新兵も出始めている、という噂が立っているんです。」
この噂を耳にし始めたのは、アイリーンが初めてリヴァイと出会ってから数日後のことだった。
始めは根も葉もない噂だと聞き流していたアイリーンだったが、その頃から実際に調査兵団を退団する女子が現れたのだ。
理由は分からなかったが、こんな噂がある以上、妊娠してしまったが為に退団するんだ。
と思われてもしょうがなかった。
同じ女として、新兵ではないにしろ気にかかる話ではあった。
それに、壁外調査に不安を持つ彼らの気持ちも痛い程わかるのだ。
なにせ、アイリーン自身も初めての壁外調査に不安をもっている一人なのだから。
「その噂なら知っている。だが毎年の事だ。今更気にしても何も出来はしない。」
「毎年……ですか?」
「知らねぇのか。お前は去年もここに居ただろう。」
「あ、いえ。その……。厳密に言えば去年からなんですが、えっと」
急に口ごもってしまったアイリーンに、リヴァイは訝しげな表情をした。
厳密に言えば?どういう意味だろうか。
言いたくないのなら無理にはいい。と言おうとリヴァイが口を開くのと同時に、アイリーンは声を発した。
「私、新兵として入ったその年に、ちょっと病に犯されまして。半年の入院と半年のリハビリをしていたんです。今年からやっと調査兵団に復帰できて。」
「……それは、初耳だな。」
「同期とハンジさん位しかしらないと思います。言い触らす事でもないですしね。」
ヘラっと笑うアイリーンは、半年も入院していただなんてわからないほど元気そうに見える。
実際アイリーンもほら!と言いながら腕を曲げて力こぶを見せながら、元気になってます!と笑っている。
少しだけ気を使うような表情を見せたリヴァイだか、その必死な元気アピールに表情を元に戻した。