第2章 親睦を深めよう作戦
どれくらい経っただろうか。
緊張で時間の経過も分からないアイリーンは、突如ガチャリ。と扉の開く音に、ビクッと身体を強ばらせた。
扉から入ってきたであろうリヴァイを見ると、呆れた顔でアイリーンを見ていた。
湯気が立つティーカップを2つお盆に乗せたままで。
「何を緊張している。何もしやしない。」
「は、はい! すいません……。」
何かされるとは思ってはいないが、勘違いさせるのは申し訳ない。
こほん。と一つ咳払いをして、心を落ち着かせる。
カチャン。と軽い音を立てて、リヴァイはアイリーンの座るソファーの前に置かれた木の机に持っていたお盆を置いた。
「これが……紅茶?」
「そうだ。飲んだことないか?」
ソーサーの上にカップを置きながら、リヴァイは問いかけた。
甘い香りが立つ液体に、アイリーンは少し心が踊った。
甘い物なんて、いつ以来だろう。
食べ物ではないが、この香りを嗅いで心踊らない方がどうかしている……!
思わずニコニコとカップを見つめると、リヴァイは飲んでいいぞ。とソーサーごとカップをアイリーンに差し出した。
「あ、ありがとうございます!頂きます。」
ティーカップを手に取り、ゆっくりと顔に近づける。
甘い香りがどんどん強くなる。
ふー、と軽く息を吹き掛け、冷ましたところでゆっくりと唇をカップにつけた。
「……あち。」
「急いで飲むな。火傷する。」
いつの間にか隣に座っていたリヴァイが、独特の持ち方でカップを持ち、アイリーンに忠告する。
それに小さな声ではい。と返事をすると、もう二、三度息を吹き掛け
ゆっくりと紅茶を啜った。