第6章 # 風見鶏
〇〇が走っていったのは 、懐かしい鉄棒 。
「 懐かしいなー 、昔よく放課後逆上がり練習したよな 」
〇〇「 そうそう 、全然出来なかったよね (笑) 」
なんて言いながら 、ひょい と逆上がりしてみせる 。
〇〇「 すごい!まだできるんだ!」
「 まだイケるわ 、俺!」
〇〇「 私もまだ出来るかなぁ ... 」
少し苦戦しながらも 、成功する 。
〇〇「 わー っ 、できた!」
無邪気に笑う〇〇 。
やっぱり俺は 、〇〇のことが大好きなんだ 。
鉄棒に2人並んで座る 。
辺りはもうオレンジ色に染まり 、少しだけ肌寒かった 。
〇〇「 ねぇ ... 、ちゃんと私のこと 幸せにしてよね ? 」
「 バカ 、あたりまえだろ ? 」
そう言うと 、どちらともなく唇を重ねる 。
「 よし 、帰ろっか ? 」
〇〇「 そ ... だね 」
手を繋いで駅まで向かう 。
ひんやりとする夜の風 、どこからか聞こえる虫の鳴き声が 、もうすぐ終わる夏を告げる 。
〇〇「 ... ね 、大好き 」
「 なんだよ 急に (笑) 」
なんて照れてしまうけど 、そのストレート過ぎる愛情表現も 、無邪気な笑顔も 、もう全部俺だけのもの 。
仲良く並んで歩く俺たちを 、どこかの屋根の上から 、風見鶏が優しく見守っていた ...
« The END »