第1章 # affection
引っ越し当日 。
〇〇「 ちょっと 、もうこんな時間だよ ? 電車間に合うの ? 」
引っ越しの準備に終われ 、気付けばもう電車の時間まで1時間を切っていた 。
「 え 、やべ っ 」
〇〇「 あとで荷物送ろうか ? 」
「 いや 、大丈夫 。もう終わったから!」
俺は 荷物をまとめ 、玄関へ向かう 。
この見慣れた家 。
今じゃ 俺の1番落ち着く場所 。
「 じゃあ ... 、行くね 」
〇〇「 行ってらっしゃい ... 、気を付けてね ... ? 」
〇〇は 、必死に笑顔を作ろうとしているようだが 、少し目が赤くなっていた 。
「 ふふ 、泣くなよ ... 」
〇〇「 ... 泣いてない ... っ 」
俺が頭をくしゃっと撫でると 、ついに〇〇の目から 涙が零れてしまった 。
「 ほら 、俺もう行かなきゃ ... 」
〇〇の泣いた顔を見ただけで 、俺まで涙が零れてしまいそうだった 。
俺は 、涙を隠すように 〇〇に背を向け 、そっと扉を開けた 。
「 大丈夫 ... 、すぐ 帰ってくるから ... 」
大きな荷物を持って 、俺は 家を出た 。
駅へ向かう途中 、〇〇の泣き顔が頭をよぎる 。
何とか間に合い 、長い時間電車に揺られ 、会社から二駅の新しい自宅へ着いた 。
ダンボールが並ぶ部屋に 、〇〇がいない寂しさがあった 。
「 さ ... 、片付けるか ... っ 」
俺は 一つのダンボールに手を掛け 、片付けを始めた 。
ある程度片付け終わると 、もう時計は8時を回っていた 。
「 あぁ ... 、腹減った ... 」
いつもなら〇〇が用意してくれる夕飯 。
これからは 暗い部屋に帰って 、自分で飯も作らなきゃいけない 。
俺は 、ふと寂しくなって 、〇〇に電話を掛けた 。
〇〇『 もしもし ? 着いたらすぐ電話してよ ... 、心配だったじゃん ... 』
「 あぁ ... 、ごめんごめん っ 、片付けがさ ... 」
知らない土地 、慣れない部屋 ...
数時間離れていただけなのに 、〇〇の声が 懐かしく感じた 。