第1章 # affection
~ 翔side ~
『 好きだよ 』とか 、『 愛してる 』とか ...
付き合ってた頃にはたくさん言ってたけど 、結婚してからはなかなか言えなくなったな 。
そんなこと 、言わなくてもわかってるし 、伝わってる 。
ボーッとそんなことをベッドの上で考えていた 。
〇〇「 翔 、なに考えてるの ? 」
優しい笑みを浮かべた〇〇が 、寝室に入り 、俺の隣に並ぶと そっと手を繋ぐ 。
昔の事を思い出していた 、なんて 照れくさくて言えないよ 。
寒さが身に染みる季節になったけど 、〇〇の手から伝わるその温もりが くだらないことを考えていた俺の胸を暖める 。
「 何でもないよ 」
そう言って 、〇〇の頭を優しく包み 、俺の身体に寄せる 。
襟元に感じる 〇〇の温もり 。
ずっと こんな幸せが続けばいい ...
モノクロだった思い出も 、〇〇の温もりで 鮮やかに色付いていった 。
ー そんなある日
「 え 、転勤 ? 」
部長から突然告げられた辞令 。
遠い場所への転勤だった 。
帰り道 、〇〇になんて言おうか 、着いてきてくれるのか 、不安だった 。
憂鬱な気持ちのまま 、玄関に着いてしまう 。
「 ただいま 」
〇〇「 おかえりなさい 」
いつも通りの笑顔で、〇〇が手を拭きながら玄関に来てくれた 。
「 〇〇 ... 、話がある 」
〇〇は 、不思議そうな顔をしながら 、リビングへ着いてきた 。
「 悪い 、転勤になった 。九州だって 」
〇〇「 転勤 ... ? 」
「 お前も仕事してるし 、俺 1人でも大丈夫だよ ... ? 」
〇〇「 ん ... 、着いて行きたいけど ... 」
大丈夫 、〇〇がいなくても 、頑張っていける 。
そう 思っていた 。
残り 、1ヶ月 。