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affection【 気象系短編小説 】

第5章 # 君が笑えるように


~ 二宮side ~

携帯の更新の時期 、どうせなら昔の携帯も処分しようと 、押し入れを探す 。

押し入れの奥から出てきたのは 、ちょっと高めないい箱 。
開けてみると その中には 、歴代の携帯達が詰まっていた 。

何気なくその一つを手に取り 、電源を入れてみた 。

「 あれ 、まだ入るんだ ... 」

何年ぶりかの懐かしい感触 。
何気なくメールボックスを覗いてみると 、あの頃の記憶が蘇る 。


それは 5年程前 ...

社会人になりたての当時付き合っていた彼女 〇〇が 、パティシエの夢を叶えるため 、フランスへ留学すると言い出した頃 ...

俺はもちろん応援していたし 、夢を叶えて欲しかった 。

けど ...
正直離れたくなかった 、ずっとそばにいて欲しかった 。
こんなこと言ったら嫌われるんじゃないか ... なんて思って 、言えなかった 。

そんな俺が 、〇〇をできるだけ明るく見送ってやろうと 、励ます為のメール 。

何度も何度も書き直したメールが 、未送信フォルダに たくさん残っていた 。

5年も経った今見返すと 、たいして変わらない内容 。

でもあの頃は 、一言 一文字さえも 、必死で書いてたんだろうな ...

可笑しくなると同時に 、〇〇のことを思い出した 。

元気にしてるのかな ... 、パティシエの夢は どうなったのかな ...

会いたいなぁ ...

俺は 、携帯の画面を見つめながら 、静かに涙を零していた 。

『 〇〇なら大丈夫だよ 。頑張ってこい 。
あと ... 、俺と出逢ってくれてありがとう 。』

それが 、何十回も書き直して送ったメールだった 。
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