第1章 始まり
サクヤの問いに答えたのは、ソラだった。
『父さん!ごめんなさい…!ソラが歌ってしまったから…。ソラを仮面の人から逃がそうと、母さんが…!』
3人は「やはりな。」と、息を飲む。
仮面の人、つまり暗部であろう。
それも、"根"のもの。
"根"の"ダンゾウ"が、セイレーンを狙っていたのは、前から情報として持っていた。
「とうとう動いたか。」
フガクが顎に手を当て呟く。
そして、サクヤは突然の母との別れに動揺し、呼吸を乱しながら涙を流すソラを抱きしめた。
「ソラ、落ち着け。母さんは大丈夫だ。父さんが助けに行く。フガクさんと、ミコトさんの言うこと、ちゃんと聞くんだぞ?」
ソラがコクンと頷いたのを確認し、サクヤはソラを離した。
「ソラ。父さんも母さんも、お前のことを大切に思っている。しっかり生きなさい。 …フガク。ソラを頼んだ。」