第1章 始まり
サクヤは影分身を出して、1人はソラに変化した。
ソラに変化した影分身を背負い、サクヤは振り替える。
「ソラ、愛してる。」
笑顔でそう言うと、雨の中を走り、暗闇に姿を消した。
『フガクさん、ミコトさん。父さんも母さんも、帰ってくるよね?』
なんだか胸騒ぎがする。
大切なものを、失うような感覚。
不安で胸がいっぱいになり、尋ねた。
「ええ、そうね。」
ミコトは涙をためた目で答えた。
先ほど降り出した雨は一層強まり、雷が鳴り響く。
それが、より不安を駆り立てた。
『父さん…。母さん…。』
ソラは、もう二度と見る事のできなくなる背を、ずっと眺めていた。