第8章 不安
入ってきたのはサスケだった。
「ソラ、その傷…。」
ちょうど背中をドアの方に向けていたので見られてしまった。
なんてタイミングだ。
(さっき、見られたくないって思ったところなのに…。)
このまま何も話さない訳にもいかない。
泣きそうなのをグッとこらえ、サスケへ無理に笑った。
『この傷痕、気持ち悪いよね。目があるみたいでさ、泣いてるみたいで。誰にも見られたくなかったのに…。あははっ』
顔が引きつっているのが自分でも分かった。
こんなものも誤魔化せないなんて、まだまだだと思う。
そんなソラに、サスケが口にした言葉は、ソラが全く予想してなかったものだった。
「その傷、俺には羽にみえるよ。天使の羽。だから、気味悪くなんてない。」
『本当に…?そう見える?怖くない?』
サスケは少し顔を赤くして、コクンと頷いた。
『ありがとう、サスケ。』
サスケの答えに、気分が少しだけ晴れた。
ソラが悩んでいる時や、辛い時は、必ずサスケが助けてくれる。
ハルとサクヤの時も。そして今も。