第8章 不安
(ここからじゃ、あまり聞こえない…。)
しかし、これ以上近づけないので、耳に神経を研ぎ澄ませていると、ある言葉が耳に入った。
"ダンゾウ様"
"うちはのクーデター"
"任務"
(あいつが…。ダンゾウ…!?でも、なんで兄さんが…?クーデターってなに?)
ダンゾウといえば、ソラにとって両親の仇。
そんな奴がなぜイタチといるのか。
頭の中で整理が追いつかなかった。
そしてさらに、信じられない言葉が耳に入った。
「一族もろとも死ぬか、弟と妹を残してお前が一族を抹殺するか」
ソラは、頭の中が真っ白になった。
" いちぞく、まっさつ。"
それはつまり、自分も一緒に家族もろとも死ぬということで。
もう一度、あの大切なものを失う辛さを経験する事になるという事で。
(そんなの嫌…!)
両親を失った、あの日のトラウマが蘇る。
呼吸が乱れチャクラが安定しなくなり、そこで影分身は消えた。