第1章 始まり
走って走って、走った。
だんだん雨は強くなる一方。
泥が跳ね、服が汚れる。
それでもただひたすら、集落へと走った。
走ったと言っても、まだ3歳。
スピードは知れていたが、幸い仮面の男と出会った場所が 集落の近くだったため、5分ほどで着いた。
『父さん!どこ!?父さんっ!!』
入り口で目一杯叫ぶが、雨の音にかき消され、誰にも届かない。
しかし、運よくミコトが通りかかった。
幼馴染のイタチとサスケの母であり、ハルとソラの事情を知る数少ない人物である。
「ソラちゃん!どうしたのそんなに泥だらけになって!ハルはどうしたの?」
『ミコトさん!父さんと、フガクさん、どこ!?母さんが…!』
「まさか…。サクヤさんは今、任務帰りでうちに来ているわ。行きましょう。」
ミコトは、必死で訴えるソラを見て、事を察し、ソラを抱えて走った。