第37章 音の誘い
少し、身体を離す。
暫くの沈黙の後、サスケは立ち上がった。
そして、ポケットからなにかを取り出した。
「これ、ここに来る時五代目に貰った。飲んどけ。」
『なにこれ…薬?』
「ああ、そうだ。よく効くから、飲めば早く退院できるらしい。」
マジマジと、薬を見つめる。
しかし、引っかかる所があった。
(…五代目、直接渡してくれれば良いのに、なんでサスケに頼んだの?)
サスケは、ソラとの約束は必ず守る。
ソラには嘘もついた事がない。
だから疑問はあったが、薬を飲んだ。
それを確認して、サスケはソラの手を握った。
「はやく、退院出来るといいな。」
『修行しようね、私もっと強くなりたいの。』
「その前に体は大事に…だぞ。」
『そうだね、ありがとう。…ずっと、側にいてね。』
「………ああ。」
サスケに笑いかけると、笑顔を返してくれる。
…サスケの笑顔がとても好き。
…サスケの手が、 温かい。
そんな事を思っていると、だんだんと眠気が襲ってきた。
「おやすみ、リク。」
サスケの声が聞こえる。
どこか、悲しそうなサスケの声が聞こえる。
『どうしたの?』と聞きたくても、もう、口は動かない。
ソラは深い眠りへと落ちていった。