第37章 音の誘い
「呪印で力を得た代わりに、大蛇丸様に縛られている。
ウチらにもはや自由などない。
何かを得るには、何かを捨てなければならない。
お前の目的はなんだ?
この生温い里で、仲間と傷の舐め合いでもして忘れて暮らすのか?
"うちはイタチ"の事を。」
多由也の言葉に、サスケは目を見開く。
脳裏に浮かぶのは、イタチの姿。
そして同時に、リクの姿が浮かぶ。
「もっと良い目をしてると思ったら…。なんなんだ、その復讐心に欠けた目は。
…目的を忘れるな。この里はお前にとって枷にしかならない。
くだらねぇ繋がりもプチンとすりゃんだよ。
そうすりゃ、お前はもっと素晴らしい力を得る事ができる。」
もう一度、「目的を忘れるな」と言って、四人衆は闇の中に消えていった。
(俺の…、目的は。)
目的、それはイタチへの復讐。
その為に俺は、生きてきた。
イタチに再開した日、あれだけどす黒い怒りと憎しみの感情が溢れたのに。
己を庇ったリクと、第七班の事を最優先にしていた。
今まで、憎しみの感情を心の奥にしまい、忘れかけていた。
…第七班の顔が浮かぶ。
そしてそれを、掻き消すかのように、イタチの顔が浮かぶ。
「 ソラ…。俺は…。」
あの日守れなかった大切な人。
ソラなら、今の俺になんて言うだろうか。
どちらを選ぶべきか教えてくれるだろうか。
…いや、もういい。
もう、決めた。