第36章 私は
『カップラーメンは絶対ナルトくん、緑のこれはリーさんよね。
…え!?これ、ネジさんから!?
今度お礼言わなきゃ…。
でもせっかくだし、一緒に食べよ!
………サスケ?』
カカシが持ってきた品をみて、大喜びするリクに安心し、見惚れる。
そのせいか、" サスケ "と名前を呼ばれるまで気づかなかった。
「あ、悪い…。俺が皮むいてやる。」
『え?サスケって包丁使えるの?』
「お前が来るまで、1人で何でもやってたんだ。これぐらいできる。」
『…そ、そうだよね!料理もできて、かっこよくて、強くて…。そりゃモテるわけね。』
「…バカ。」
お前にだけ好かれれば、それでいい。
そう言いかけた口を慌てて閉じた。
そして、りんごを一つ持って、包丁を取りに行った。
「…ったく。無神経なやつ。」
リクに聞こえないように、小さな声で呟いた。
チャキチャキと動き出し、リンゴの皮をむき始めたサスケのことを、私は眺めていた。
『…もぅ、かっこいいなぁ。そんなにかっこ良くなるとさ、ファンが増えちゃうよ。バーカ。』
サスケに聞こえないように、小さな声でそうつぶやく。
" 歌神リク " としても、サスケには特別な感情を持っていた。
記憶を取りもどし、" うちはソラ " として改めてサスケを見ると、さらにドキドキする。
(ああ、私は昔からサスケの事が好きだったんだ。)
今になってやっと、幼かった頃の気付いた。
昔は近すぎて、気持ちが良く見えなかっただけだった。
ソラの時も、リクの時も、今も。
ずっとサスケが好きだ。
「何ニヤニヤしてんだよ。アホみたいな顔してるぞ。」
酷いと睨んでやると、サスケは少し微笑んで皿を差し出した。
『う、うさぎりんご…。可愛い…。』
紡ぎ出された言葉と差し出された皿のギャップに、キュンと胸が締め付けられた。
実はサスケにベタ惚れだと、気付かされてしまった瞬間だ。