第35章 知ってる
「リクちゃん、サスケの事すっげー大切にしてるからさ、身体張ってまで助けたかったんだな…。」
「ま、そういうことだろうのう。
しかしこの娘、写輪眼を一体どこで…。」
ナルトと自来也の会話が聞こえる中、俺はリクの元へ近寄る。
そして固定された左手を眺めてから、力のない彼女をを抱き締めた。
「リク…済まない…ッ。」
俺のせいで、お前は傷ついた。
守ってやると、誓ったはずなのに。
もう二度と、大切なものを傷つけられたくなかったのに。
「……サスケってば…。」
ナルトは、リクを抱きしめたまま動かないサスケに声をかけ、さらに驚いた。
サスケの頬に、涙が流れていたのだ。
あのサスケが弱気だなんて。
リクを抱きしめて泣く彼は、クールないつもの彼とは異なる姿にみえた。
そこに見えたのは、今までサスケが隠し、閉じ込めていた心の一部だった。
「サスケェ…。俺ってば、エロ仙人とぜってー綱手って人見つけてくっから!それまでリクちゃんを頼むってばよ。」
肩を揺らすサスケの背に、ナルトは強く呼びかけた。
しばらくして、ガイが遅れてやって来た。
敵と間違えて自来也にダイナミックな蹴りを決めた事を平謝りした後、ここへ来るのに遅れた理由を話し始めた。
どうやら道に迷ったようで、サスケと同時にでたはずが、今になっての到着、だそうだ。
「サスケは左腕と肋骨を骨折。
リクは、腹部の内出血が酷いのと、何やら瞳術で精神攻撃をくらい、意識がない。
はやく、医療班のところへ運んでやってくれのぉ。」
自来也がリクとサスケの容態を説明すると、ガイは「分かりました」と言い、サスケとリクを木の葉へ連れ帰る準備を始めた。
しかし、サスケは決してリクを離さなかった。
「…リクは、俺が運ぶ。こうなったのは俺の所為だ。」
「でも、骨が折れて…「俺が運ぶ。」
俺ががどうしても譲らない姿勢を取ると、ガイはそれに承諾した。
「いやぁ、同じ班の仲間を…青春だ!
それでは自来也様!必ず無事に連れて帰りますので!」
「…ナルト、頼んだ。」
「ああ、分かってるってばよ。」
拳を合わせた彼らは、それぞれの目的地へと向かい出した。