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大切【NARUTO】

第35章 知ってる





修行場所へ着くと、早速サスケは私に組手を申し出た。
私はそれに応じながらも、サスケの戦い方に違和感を覚えた。

上の空といった様な、全てが雑なのだ。


(サスケ…焦っている。いつも以上に、今まで以上に。
一体何にそんなに焦っているの?)


前から更にレベルアップした私の火遁。
同じ火遁使いとして、それに何か思う事があるのだろうか。

それとも…目の前の私じゃなくて、ナルトを意識しているからだろうか。

…はたまた、別の人物?

しかし、サスケがナルトを今までよりも敵対視している事は、火を見るよりも明らかで。

それもやはり…歌の力の影響で。

彼が誰かを殺すために修行を重ねて来たのは知ってる。
木の葉崩しの日の歌で、彼の深い闇の記憶を蘇らせてしまった事も、知ってる。

だから、急成長をしているナルトを認めたくないんじゃないだろうか。
その気持ちをさらに煽ったのが、私の歌なんじゃないだろうか。


(サスケ…私には、何ができる?)


私は何をしてあげられる?

その答えが出ぬまま、私は暗い顔をする。

しかしそんなものは御構い無しに、サスケは体術戦から一旦離れ、印を結ぶ。

千鳥だ。


『サスケ、修行も大事だけどさ、無茶しちゃダメだよ?身体が壊れたら意味ないんだから。』


1日2発が限界だとカカシに言われていたにも関わらず、今日は3発目。
呪印が暴走するかもしれないのに。

それでもサスケは私に向けて術を放とうとする。
まるで黙れと言われているようで、耳を貸さない。

術の大きさだって、修行の相手に出す強さじゃない。
一瞬、恐怖すら覚えた。


(サスケ…。なんだか遠くに行っちゃった感じがする。)


私は、ふとサスケが居なくなる夢を思い出した。
それにこの感じ、前にも体感したことがある気がする。

大切なものを失う前の嫌な予感。

なぜだか鼓動が早まる。


『サスケ…。遠くに行かないで…。』


貴方がいない私の人生なんて、考えられない。
例えどんなに心の壁があったてしても、1番そばにいたいのは貴方なの。

小さな声は、サスケの術の音でかき消されてしまう。

その悲しみを心から追い払うように、私は指先に火の力を集めた。


「千鳥!!」


『指銃弾・焔!』


サスケの千鳥と同じ力で出した私の技で、それは相殺され、衝撃波が空間を割いた。



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