第34章 デートをしよう
「お前らがいうように、リクは特別な力を持っている。
それこそ、お前らがみた銀の髪、つまり血継限界だ。」
リクの銀髪は血継限界…。
大蛇丸の金縛りから、俺らを守ろうとしたときに、リクは歌った。
そしてその力と想いに呼応するかのように、だんだんと髪色が染まったのだ。
それこそ、その姿はまるでハルさんのような、まるで、ある力を有しているかのような。
ソラの母親であったハルさんは、銀髪だったし。
まさか、という想いが徐々に膨らむ。
しかしそんな俺をおいて、とんとん拍子で話は進んでいく。
「リクちゃんが…血継限界!?」
「まさか…それってどんな血継限界ですか?やっぱりあの時の歌に力があって…?」
「さあな、彼女の血継限界がどんな能力かは、まるで知られていない。
本人ですら何だか良く分かっていない。
けどな、この世でたった1人の生き残りらしい。
だからこそ、希少な血を大蛇丸に狙われた。
そうだな…サスケの写輪眼と似たようなものだよ。」
希少な一族の血、たった1人の生き残り。
まるで知られていない能力、歌。
やはり、その一族、その通称は…。
「セイレーン…。」
「え?サスケくん、今セイレーンって言った?
セイレーンなんて、昔話に出て来るだけで、現実には存在しないんじゃ…。」
「せいれーん?何だってばよそれ…。」
ナルトとサクラの疑問に答える事なく、再び俺はカカシの目を見る。
「なるほど、セイレーンね。そうなら一大事だ。
けどなサスケ、セイレーンはいないし、今の時代はその言葉を口にするだけで、国内外関わらず狙われる羽目になる。」
「……何故そうなる。」
「セイレーンが存在すれば、国家の武力バランスが乱れる。
…国を一瞬にして滅ぼす兵器になるからさ。
だから忍国家の今、そんな都合のいい一族がいれば、手に入れようとする。
わかるか?それに関する情報を少しでも持っていれば、拘束され、尋問されるんだ。
己自身がその一族じゃなくてもな。」
そんな事、説明されなくたって分かってる。
失言だったと反省し、それを誤魔化すように舌打ちをした。
俺は、お伽話でもなんでもなく、ただその力を持っていると言うだけで消された命を、幸せだった家族を、俺は知っている。