第34章 デートをしよう
「リクちゃーん?そんなんあったっけな〜。サクラちゃん、何か思いつく事あるー?」
「んー…そうね…。」
ナルトとサクラが2人して頭を抱え、思い出そうとしている中、サスケはずっと俺を睨んでいた。
「ちょっとサスケ、何睨んでんの。何もないの?」
「ある。」
サスケは断言し、もたれていた丸太から離れ、俺の目の前に立った。
「リクの銀髪への変化は何だ。
俺は一度しか見てないが、何かあるんだろ?一体何を隠してやがる。」
睨みつけられても怖くはないが、サスケは、怒りと戸惑い、そして疑いの感情が混じったような複雑な顔をしていた。
(サスケ、お前こそ何を隠してる…だなんて、言えるわけないからなぁ…。)
幼い頃の彼女の事情は、サスケが一番深く知っている。
波の国への任務の際に見つかった、リクの白いアザの件も、何か知っているはずなのに、サスケは言わなかった。
その事で、重要な何かを隠している見当はついている。
ここで流れに乗せて聞き出せたら…なんて思っていたが、サスケもサスケで、その事は決して話してくれないだろう事は目に見えている。
視線を交え、互いに顔をそらす事なく、しばらくの間は無言を貫き通していた。
そんな静かな戦いの様子にサクラが狼狽える中、空気を読めない大声がその空間に響く。
「あーっ!!俺も!俺も見たってばよ!リクちゃんの髪、銀色になってさ!俺ってば、一瞬誰だかわかんなかったし!」
「ちょっとナルト!空気読みなさいよ!」
サクラがナルトにげんこつを食らわせ、眉をひそめる。
そしてそのまま、俺の方を向いて、小さな声で話し始めた。
「…私もリクの髪色、みました。
あともう一つ、リクが歌い始めた途端、サスケ君と私がかかった、大蛇丸の金縛りが解けました。」
なるほど、3人とも全員、一度はリクの真の姿をみてるってわけだ。
(リク…全然約束守れてないじゃないの。あれだけ気をつけろって言ったのに。)
今いない彼女のことを非難したって何にもならない。
まあ、同じ班員なら、いずれは知る事になるのだ。
隠せば隠すほど、仲が悪くなるのも目に見えているし…。
少し、彼女の話をしよう。
彼女の秘密について、ほんの少しだけ。