第34章 デートをしよう
サスケの千鳥で、先の音忍達はともに倒れ、騒ぎに気づいた上忍がこの件の処理に来てくれた。
「あり…が、とう…、おねぇちゃ…!」
『もう大丈夫。大丈夫よ。』
泣き止まない兄妹をギュッと抱きしめて、背中をさすってやる。
(ああ、私も一度こんな目にあった気がする。)
そう思った時、何故か背中にある2つの古傷が痛み出した。
涙を流している目のような形をした傷。
何かを思い出せそう、そう思った時、ガンと鈍器で殴られたかのような衝撃が頭を貫いた。
(な…なんなの…突然…なんで!?)
突然の痛みに、私は膝から崩れ落ちる。
「お、おい!ねえちゃん!大丈夫か!」
「ふぇぇえんっ!おねぇちゃん!」
私の腕の中で声をかけてくる小さな兄妹。
ぼやける視界でそれらを見つめる。
その姿は、まるで…
『…サスケ…と、私………?』
ガンガンと波のように痛みがやってくる。
だめだ、このままじゃまた気を…
抱きしめていた二人を無理やり突き放し、私は頭を抱えた。
「えっ…おねぇちゃん!?」
「か、母さん!ねえちゃんがやべえよ!」
無理やり突き放したにも関わらず、小さな兄妹は私を心配してくれているらしい。
なんて優しいのだろう。
そんな事を思えるほど余裕があったのはたった一瞬。
『うぇ…っ、うぅ…ぉぇ…』
胃の中にあったものを外へと出してしまった。
気持ち悪い、苦しい、頭がいたい。
何故こんな事になったの?
せっかくのデートなのに。
初めてのデートなのに。
兄妹の母親は、子供達の声にすぐさま駆け寄り、私の背をさすってくれた。
「ちょっと…!大丈夫ですか!!
あの、さっき助けてくれたそこの彼!この子の事、何か分かる!?」
だめよ、サスケを呼ばないで。
こんな汚い姿、見せたくない
そんな私の想いは他所に、何よりも早くサスケはこちらにやって来た。
「リク!しっかりしろ!おい!」
『…うっ……ぉぇ…っ…』
サスケの問いに答えることもできないほどの気分の悪さ、そしえ頭痛が、波のように押し寄せてくる。
『…ごめ……サス、ケ…。』
ごめんなさい、サスケ。
今日、連れて行ってくれる場所、あったのに。
そういやさっき、黙れって言ったけど…
私、悪い事したかな…
ごめんなさい…