第34章 デートをしよう
叫び声がする方へ急いで駆けつけると、音隠れの忍2人が一般人を襲っていた。
兄妹と母親のようだ。
「お願いします…!私はどうなってもいい!だから、その子達だけは…!」
「あのな、お母さん?俺たちは黒髪の下忍くノ一を探してるんだ。しらねぇ方が悪いんだよ!」
音忍は理不尽な言い訳をし、兄妹の首にクナイを突き立てる。
母親も、もう1人の方に拘束され、子供達を助けられずに涙を流していた。
『…今、あいつら黒髪の下忍って言ったよね?』
「まあ、そうだな……っまさか!!」
『私強いからね!囮で出るから、その隙にあの人達を救出して!』
「………分かった。無茶するな。」
『うん、ありがとう。』
木の葉に住む人達を守るのは、私たち忍者の役目でもある。
それはサスケだって同じ考えをもっているし、私の強さを認めてくれているからこそ、引き留めたりしないのだろう。
しかしこの音忍達、どうしてこんな事を。
危害を加えようなら手加減は一切無しだ。
私は深呼吸をしてから、その騒ぎの中心に入った。
「おいそこの嬢ちゃん!死にたくなきゃどけ!それとも嬢ちゃんが俺たちの探してる奴を連れて来てくれるってか?」
『教える気は無い。もっと情報を集めてから来なさい!黒髪の下忍?そんなの沢山いるもの。』
「あ?俺たちゃ音隠れの中忍だ!舐めてると怪我するぜ?」
『舐めてんのはどっちよ。そんな少ない情報で答えを出せる方が難しいわ!
観光できたのか、任務できたのか、はたまた不法侵入かは知らないけど、木の葉隠れの忍、舐めてもらっちゃ困るわ。
…あなた達、探してこいって言われた人の名前も分からない訳?』
あまり街中で戦闘はしたくない。
できる事なら論破してやりたい。
それに音隠れ…
全員が悪いわけではないだろうが、現在大蛇丸が所属している以上、サスケのことも重なり警戒が生まれる。
キッと睨むと、機嫌を悪くしたのか、1人の音忍が叫ぶ。
「名前?くくっ…歌神リクだよ!
さあそいつのところに連れて行け!
こいつらの命が惜しいならな!」
そう言って、まだ幼い兄妹の首に突き立てたクナイを強く握った。
(……私?)
顔には出さない。
けれど、私の名前が出てくるなんて。
激しく動揺した私は、論破を諦めて戦闘する構えをとった。