第34章 デートをしよう
2軒目、3軒目と店を回るに比例して、サスケの顔はだんだん青白くなっていく。
それもそうだ。
サスケは店に行けば必ず、苦手なものにも関わらず、団子を一粒食べるのだ。
心配しても、絶対そこだけは譲らないと無理にでも胃に詰め込んでいた。
『サスケ、そんなに無理して食べなくてもいいのに。私が全部食べるからさ。』
「いや、いいんだ。それより次、何処に行きたい?」
真面目…悪く言えば頑固な性格のサスケは、今日は私に付き合うと言った以上、意地でも折れる気はないらしい。
(もー。ほんとツンデレで負けず嫌いなんだから。そういう所も…好きだけどな。)
今もまた次の店を探して商店街付近を歩いているのだが、サスケはずっと、私に手を握っていてくれている。
ずっと繋いでいる手が暖かくて、嬉しくて。
ずっと側にいたいという気持ちが大きくなる。
もういっそ、今、想いを伝えてしまいたい。
サスケが好きだと、言ってしまいたい。
けれどそれを、彼は受け入れてくれるだろうか。
(ビビっちゃだめよリク。後回しにしちゃだめ。言わなきゃ想いは伝わらないんだから。)
いつもいつも、逃げてばかりだった。
けれど、今日なら…サスケに想いを伝えることができる気がする。
だって今日のサスケは、ちょっと変だけど、優しくて、いつも以上に笑ってくれる。
想いを伝えるだけなら…きっと、今なら………
ーー『お前の歌が、サスケを苦しめてる。だから、お前が死ねばいい。』ーー
突然、頭の中に声が過った。
『……え…?』
私の歌が、サスケを?
何処かで聞いたことのある台詞に戸惑い、また、その言葉の重みに、私は足を止めてしまった。
「リク?どうかしたか?」
『ううん、なんでも…ない。』
なんでもないだろ、と言わんばかりにサスケがこちらを見てくるが、こんな事…相談できるわけがない。
まず第一に、歌の話をサスケに振る訳にもいかない。
(私の歌が…サスケを苦しめる?
それにこの言葉、いつ聞いたんだっけ…?)
自分でも血の気が引いているのがわかる。
サスケを苦しめる?私が…?
とうとう何も答えなくなった私に心配し、サスケが私の顔を覗き込んだ。
瞬間。
「きゃーーーーーーっ!!」
誰かの叫び声が、あたりに響いた。