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大切【NARUTO】

第34章 デートをしよう





今日は、リクのことをもっと知るための日だ。

だから、リクが暇があれば通い、飽きるほど食っているであろう団子を、同じように食おうとした。

が。


(…………甘い。)


甘味処巡り、1軒目。

想像以上の甘さで、既にギブアップなのだが、今回ばかりは残すわけにはいかない。

いや、串に三つ、刺さってるんだ。
一粒は食おう。

そう決めて必死に団子と格闘している俺を見て、リクはケラケラと笑う。


俺は笑うなと口ではいうが、リクが腹の底から笑っている事は嬉しい。

が、やはり団子は俺の口には合わない。
相変わらず外から見たら眉間にシワだらけでムスッとしているのだろう。


嬉しい気持ちと、団子に対する気持ちが混じり、きっと今の俺は変顔をかましているのだろう。

けれど…


(ああ、俺はこれが見たかったんだ。)


慌てた顔、怒ったかのような顔、困った顔、笑った顔。

いつも魅せる沢山のリクの姿が、この瞬間に詰まってるような気がした。

そう思うと、眉間のシワは消えないが、口元は緩む。


『…ちょっと、サスケ何笑ってるの?』


「あ?なんでもねーよ。」


そう、なんでもない。
このなんでもない時間が、幸せで堪らない。

くるくると表情を変える彼女に、ずっと隣にいてほしいんだ。




もう10杯目にもなろうお茶を啜り、俺は立ち上がった。


「次行くんだろ、行くぞ。」


『うん!おばさん!会計お願いします!』


「はいよー!」


大丈夫だと断ってくるリクの分の代金も払い、さっさと店を出る。


『もー!いつもこういうのは払わなくていいって言ってるのに…。』


「いいんだ、今日は俺がそうしたいんだ。……ほら。」


そっぽを向きながらも、リクの方に手を伸ばしてみる。

すると数秒後、伸ばした手はリクのそれによって包まれた。


『…えへへ。ありがとう。』


「おう。」


今きっと、リクの顔を見たら、俺はどうなるかわからない。
突然抱き寄せてしまうかもしれないし、もっと別の行動をしてしまうかもしれない。


見なくてもわかる。
繋いだ手から、伝わってくる。



今、リクはきっと、とっても綺麗な笑顔を俺に向けている。



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