第34章 デートをしよう
「………。」
『どうしたの?黙ってたって仕方ないよ?ほら、飲み込まなきゃいつまでも口の中!』
ケラケラと笑いながら、私はサスケの様子を見ていた。
甘味処巡り、1軒目。
いつもはヒナタとくるこの店は、やはり外すことができなかった。
私は好物のみたらし団子を頼む。
とは言っても、さすがに今日は控えめに。
そしていつもなら「甘いものは嫌だ」というはずのサスケなのだが。
「…俺も食う。一つくれ。」
そう驚きの言葉を発し、団子を食べ始めてから早1時間。
私は遠の昔に食べ終わったのだが、サスケはまだ一口目で格闘しており、今に至る。
『ねぇ、そんなに苦手なら食べてあげよっか?
無理なら口の中のも、ごめんなさいすれば?』
「一粒は…絶対に食う。」
これでもか、というほど眉間にシワが寄っているが、決して折れない姿勢のサスケに、さらに笑いがこみ上げる。
(フフッ、こんな所で負けず嫌いを発動しなくたっていいのに!)
やっとの事でお茶で流し込み、机に伏せたサスケを見てしまうと、もう笑いは止まらない。
『ふっ…っくくっ…!』
「笑うな、バカ。」
『だってサスケ…死にそうな顔してるから…!団子一粒で…っくく…っ!』
腹を抱えて笑っていると、サスケがむすっとした顔で残りの団子を差し出した。
さすがにギブアップらしく、その後は私が美味しくいただき、会計をしようといつもお世話になっているおばさんに声をかけた。
「リクちゃん!今日はヒナタちゃんと一緒じゃないのね?…ボーイフレンドかしら?」
『ち、違いますよ!私達、家族みたいなもので…。』
ワタワタと慌てて答えると、おばさんはニヤリと笑う。
「あーら、もしかしてサスケくん?
ヒナタちゃんとの話によく出てくるものね!」
『ちょっ…サスケの前で言わないでくださいよ!』
「あはは、ごめんごめん!代金負けといてあげるから許してよ〜」
そう言ってバチンとウインクをかまされてしまうと、もう何も言えない。
突然ボーイフレンドって…負けてくれるのは嬉しいけれど、恥ずかしいじゃない!
顔を真っ赤にしたまま、横目でサスケを確認すると、相変わらず眉間にシワが多いが、何故だか静かに微笑んでいた。
どこかに笑うポイントなんて…あった?
…変なの。