第32章 日向
「ヒアシ様!何故ここに!?ヒナタ様は!?」
「長老から事の次第は聞いた。ヒナタなら今、コウが側についている筈だ。
途中で拾った、お前の仲間と一緒にな。」
「そうですか。しかしこの戦の折、宗家自らこんな場所まで…。」
「ヒナタは私の大切な娘、そしてお前は、大切な弟の忘形見だからな。
そして確か…リクだったな。協力感謝する。」
『え、はぁ…はい。』
私がよく理解しないままハッピーエンドへと向かいそうな雰囲気に、私は眉間にしわを寄せる。
(まず、この人がヒナタのパパって事はわかった。けど、なんで私の事知ってるの?
全然状況分かんないんだけど!!)
ムスッとしている私を見て、ネジがクツクツと笑う。
一体どこに笑うポイントがあったんだ?
「リク、これだけの力をもってして、如何してここまで名が上がらなかった?
サスケ以上だと思うが。」
『え…。なんでって言われても…。
サスケといつも一緒にいるから、うちはの名に負けてるんですよ、多分。』
「そうか…。」
どうやら気を失った忍の話だったようで、私の疑問には残念ながら気付いてくれなかったらしい。
けれど、ネジが私の事を認めてくれたようで、なんだか嬉しかった。
いつも周りはサスケばかりで、私が褒められる事なんてあんまりなかったし。
『ネジさん!里に帰ったら、私と手合わせしてくれませんか?
ネジさんの柔拳、凄いなって、戦ってみたいなって思ってたんです!』
「ああ、いいだろう。」
ネジの返答に、ウズウズする。
手合わせなんて、第七班の人以外したことなかった分、新たな発見があるだろう。
「話はまとまったようだな。
では、ヒナタ達の元へ向かうぞ。」
そう言って走り出したヒアシの後を、ネジと共についていった。