第32章 日向
『すみませんネジさん、出て行くタイミングがなかなか掴めなくて。』
「いや…それよりお前…。」
ネジは少し眉を顰め、私とうつ伏せに倒れる忍者を眺めた。
『は、はは…少々張り切りすぎたかと。』
「いや、そうじゃなくてだな…」
『取り敢えずこの手足のヤツ!ぶっ壊しますね!』
何か言いたげなネジだが、それは後。
さっさと撤退するに越した事はない。
ヒナタさえ無事ならば、私たちの任務は完了だ。
そう思い、手足の岩を砕こうとした時だった。
『まーったく、そのしぶとさだけは、下忍以上ね。
けど、気配を消すのは私の方が得意なの。もちろん、感知もね。』
敵に背を向けたまま私は語る。
先程倒したと思っていた忍者は、まだ意識があったのだ。
「くっ…このガキが!!!!」
雲隠れの忍者は怒鳴り散らし、土遁を放つ。
それに応戦しようと、リクも印を組んだ刹那。
『火遁・豪火球の……!?』
「八卦掌・回天!!」
火球を放つ前に、誰かのチャクラにより私達は守られた。
一体誰かと思い、その人を確認すると、髪の長い、袴姿の人。
「遅くなったな…。」
『だ、誰?』
「ヒアシ様!」
『ヒ、ヒアシ様…??』
ネジが目を見開いて、彼の姿を見ているから、知り合いなのだとは思うけれど。
どうやら先の土遁が最後の力だったようで、雲隠れの忍者は既に気を失っていた。