第31章 中忍試験・力
サスケの元へと向かうと、既にカカシによる修行が始まっていた。
それを途中で止めるわけにもいかないので、私は岩に座ってその姿を眺めていた。
(私って、言葉足らずで口下手よね。
ネジさん、何言ってんだって感じだろうなぁ…。)
どんな繋がりでも大切にしてほしい。
人の運命を決めつけちゃダメだと思う。
ただそれを言いたかっただけなのに。
自分自身の繋がりに対する想いが混じってかなり遠回しな言い方をしてしまった。
途中で自分が何を言っているかも分からないほどに。
(普段話す人って、第七班のみんなとヒナタぐらいだから…。
言葉足らずでも、ちゃんと理解してくれてたから救われてたのね。)
いくら知識が頭に入っていても、強い想いがあっても、相手に伝える事ができなければ意味がない。
それはきっと…サスケへの想いだって同じだ。
大きく溜息をつく。
『…ほんっとに、情けない。』
「…どうした?」
『あれ、いつの間に休憩なったの?
大した事ないよ、私は口下手だなって思ってただけ。』
サスケに声をかけられ、岩から飛び降りる。
まあ、口下手言葉足らずなのは知ってたし、変に慣れない事をしたのが悪かった。
ネジには本戦でまた会えるだろうし、その時謝ろう。
さっきの事は心の奥に仕舞い、サスケの手を引いてカカシの元へ走った。
「おい!引っ張るな!」
『なに?じゃあこの前のお礼で姫抱っこしてあげよっか?』
「断る!」
いつもの調子で話しかけ、サスケの様子を見てケラケラと笑う。
そんな私達を、目を細めて見ていたのは勿論カカシだ。
「あーのねぇ、俺もいるんだから…。仲良いのは良いんだけどネ?仲間外れ感凄いから俺…。」
『じゃあ先生も!手、繋ぎましょう!』
「えー…でも、サスケが怖いからやめとくよ。」
『ん?サスケが?なんで?』
なんだか楽しそうにカカシがサスケを指差すので、リクは彼の様子を見る。
顔を反らして不機嫌な様子だったのだが、何故なのかは分からなかった。