第31章 中忍試験・力
『私、ネジさんとお話ししたくて探してたんです。お時間頂けますか?』
「…いいだろう。」
テンテンは気を使ってその場を離れてくれた。
その場に残された私達は、立ってるのもなんだからと木陰に腰を下ろした。
『あの…ネジさんって、ヒナタの従兄弟ですか?』
「だったらなんだ。ヒナタ様の事で文句でも言いに来たか?」
『いや、全然。あの結果になったのは、ネジさんとヒナタの力の差。
それに、私がどうこう言えるものでは無いです。』
「そうか」と呟き、ネジは空を仰ぐ。
ヒナタの従兄弟か、そう聞いた時、確かにネジから殺気のようなものを感じた。
ヒナタの悩みの一つ、日向一族の宗家分家の問題の事が絡んで彼女がああなったのは、試合を見ていなかった私でも容易に想像できた。
けど、私にとっては羨ましい。
そう思う私は、非情なのだろうか。
『ヒナタだって色々悩んでる。ネジさんも悩んでる。
…ネジさんにとったら、日向一族の問題はとても辛いことかもしれない。
けど、それに悩めるって、幸せですよ。』
思わず想いを口にすると、ネジは明らかに不機嫌な様子で私を睨む。
「……お前に何がわかる?」
『何もわかりません。だから、羨ましいんです。』
そう言うと、ネジはさらに顔をしかめる。
「どういう事だ?」ときつく睨まれた。
いやいや、白眼なんて出さなくてもいいじゃない。
そこまで警戒されると、なんだか笑える。
クスクスと笑っていると、さすがに怒られてしまい、ごめんなさいと謝った。
「言いたいのはそれだけか?」
『まあ、言いたかったのはそれです。』
一族で悩める事は、まだ幸せだと思う。
私のように、何の繋がりすら覚えていない人からすれば。