第31章 中忍試験・力
『サスケ、めちゃくちゃカッコ良かったよ。』
そう言うと、サスケは少し顔を赤くする。
そんなサスケの姿が面白くて、身体をいたわるべきなのに、ついつい微笑んでしまった。
「なあリク…中忍試験が終わったら…。」
「はーい、話の途中で悪いけど、サスケ行くよ。呪印、封印するから。」
『カカシ先生…。』
サスケが「チィ」と舌打ちする。
そんなサスケにカカシは苦笑いをし、他の奴らの試合も見たいというサスケを説得する。
このまま放っておけば、呪印は危険だと。
『先生、私も一緒に行きます!』
サスケの容態が心配だし、呪印の封印の仕方も見てみたい。
…しかしそれは、叶わないようだ。
「サスケの前に、自分が突破しなきゃでしょ。
試合終わったら、リクも毒抜きで医務室行きだからね。」
カカシが掲示板を指さす。
ゆっくりと見上げると…
[ウタカミ・リクVSヤクシ・カブト]
『私だ…。』
しかも、相手はカブト。
最悪だ、あの人とはもう話したくもなかったのに。
「リク。」
『なに?サスケ。』
「……勝て。」
サスケは試合が見れないからと、悔しそうな表情だが、強く言い切った。
私に「勝て」と。
サスケが応援してくれる。
見てもらえるわけじゃないけれど、それだけでやる気が出る。
『勝つよ。』
サスケの気持ちに応えるために。
もっともっと、強い相手と戦う権利を得るために。
会場を去るカカシとサスケの姿を見送り、リクは大きく息をした。