第31章 中忍試験・力
『頑張れサスケ!』
たくさんの声が会場に響く中、リクの声だけが耳にはっきり届く。
彼女の気持ちが、心に響く。
呪印に飲まれない、強い意志を見せてくれと。
リクが見てる。
声の方を確認すると、必死で叫ぶ第七班の姿。
(フ…。あいつらに心配されるとはな。
それにリクを守るなら、あいつにあんな顔させるような試合はしちゃいけねぇな。
……こんなモノに、飲み込まれてたまるか!)
広がり始めた呪印を、気力でねじ伏せる。
試験前にリーの接近戦を見ておいておいてよかった。
コピーした影舞葉で、相手の背につく。
そしてここからは初めてリクと森で修行した時に受けた、『天空ナンチャラ』とか言うダサい技名のやつに、アレンジを加えたものだ。
「獅子連弾!」
何度もの蹴りをいれて、相手の体を地面に叩きつけた。
相手を戦闘不能にし、俺はまだ立てるとアピールするため、ゆらりと立ち上がった。
「第一回戦勝者、うちはサスケ…予選通過です!」
ほっと一息つき、班員の方に顔を向けると、ナルトが喜び叫ぶ。
サクラも安堵の表情であった。
「ったく、ウスラトンカチが…。」
『ウスラトンカチはサスケよ。』
倒れかけた俺を、いつのまにそばに来たのか、リクが膝で支えてくれた。
なぜか怒り口調のリクに、拗ねたふりをしてみた。
すると彼女は吹き出して、二カリと笑う。
『本戦進出、おめでとう。』
「ああ、ありがとう。」
フラフラな姿をリクに見せたくはなかったけれど、彼女が笑ってくれるならそれでもいいやと思えた。