第30章 中忍試験・絆
どうやら私は、音との戦いの後ぶっ倒れて、何もしないままゴールへと辿り着いてしまったらしい。
『ほんっとごめん…。足手纏いとはこの事よ…。』
大人しくサスケに抱かれたまま、みんなに謝った。
「いーのよ。リクはそれまでに、この3日以上の事をしてくれたんだから。」
そのサクラの言葉に、ナルトもウンウンと頷いている。
励ましてくれるものの、やはり遣る瀬無い気持ちが心を覆う。
「いつもお前は頑張りすぎだ。今回ぐらい寝てても問題ねぇよ。」
サスケにまで労いの言葉を頂いてしまった。
それでも申し訳ないという気持ちが勝り、しばらく黙っていると、カブトの仲間達と合流した。
「僕らはこっちの扉を行くから…。じゃあ、お互い頑張ろう!」
『…待って!』
私が呼び止めた事で、カブト達は扉にかけていた手を降ろす。
「何か用かい?」
ニコニコと笑うカブトの笑顔が気持ち悪い。
…なんて思っているのはこの場で私だけなのだろうけど。
それでも彼は命の恩人だ。
『私は貴方が嫌いです。嘘で塗り固めたようなその違和感が。
…だけど、感謝してます。助けて頂いて、有難うございました。』
「ハハッ!こうも堂々と嫌いと言われたのは初めてだよ。
治療の事は気にしないでくれ、僕の気まぐれさ。
…じゃあリクちゃん、次の試験も頑張ろうね。」
ヒラヒラと手を振り、塔に入ったカブト達をジッと見た。
(…なんだろう、カブトって人。本当に気持ちが悪い。)
ここまで良くしてもらっても、はじめに感じた違和感が消えない。
この原因は何なのか。
「よーし!俺たちも行くってばよ!」
カブトに関する答えは出なかったが、今は合格を貰うこと先だ。
ナルトの掛け声とともに、私達は塔へと入っていった。