第30章 中忍試験・絆
塔へ向かい、天の書を手に入れるというカブトの提案に乗り、第七班はカブトとともに塔へ向かうことにした。
未だ目を覚まさないリクを連れ、森を駆ける。
そしてラストチャンス…
初日に出くわした雨隠れの忍者たちに遭遇した。
幻術にはまり、苦戦を強いられた第七班であったが、ナルトの機転により形勢逆転し、見事"天の書"を手に入れた。
『ん…んん。あれ……?』
背中から、リクの声がした。
「リク!起きたのね!」
『あれ、サクラちゃん…。それになんでサスケに背負われて…?身体も重いし…。』
何がなんだか分からないといった様子のリクだが、意識はハッキリしているようで安心する。
「よかった、目を覚ましたんだね。」
『…!貴方は!!』
カブトに気づいたリクが警戒する。
近寄るなと殺気を放っていた。
「リクちゃん!カブトの兄ちゃんが、リクちゃんを助けてくれたんだ!」
『こいつが、私を?』
ナルトに説明されてもピンと来ていないようで、リクが首をかしげた。
「お前は毒グモに噛まれて、丸3日ほど意識を失ってた。
そのカブトってやつが、医療忍術で毒抜きをしてくれたんだ。」
『…3日!? もう試験が終わっちゃうじゃない!!巻物探さなきゃ!』
焦ったように、俺の背から降りたものの、力が入らないようでばたりと倒れた。
「大丈夫だよ、君達は今ちょうど、天の巻物を手に入れたところさ。
それよりも、3日も寝込んでいたんだし、すべての毒が抜けたわけじゃない。
大人しくサスケくんに連れて行ってもらうべきだと思うよ。」
「そういう事だ。黙ってもう少し寝てろ。」
カブトの説明を受け、未だ唖然としているリクを両腕で抱えた。
お姫様抱っこ、とかいうやつだ。
『ちょっと…サスケ!恥ずかしいよ!』
ワタワタと暴れるリクと、何やら背後かのサクラの視線を無視し、指示を出す。
別にいいだろ、これくらい。
大人しく腕に収まってたらいいんだ。
目を覚ましたことが嬉しくて、本当は抱き締めたい。
それができないから、こうするしか誤魔化しようがないんだから。
ともかく残り時間はわずかだ。
全力で塔へと走り始めた。