第30章 中忍試験・絆
『サスケ…重たかったでしょ、ごめんね。でも、もう大丈夫よ。』
「……そうか。」
何故だか少し残念そうな顔をするサスケ。
なんでそんな顔をするんだろうと、疑問に思いながらも、ゆっくりと足を地に下ろした。
塔に入ると誰もおらず、代わりに何か文が書かれている大きな巻物が掛けられていた。
どうやら巻物を開けと言っているらしい。
サクラとナルトが天地其々の巻物を持つ。
「それじゃあ…開くってばよ!」
緊張の中思い切って巻物を開くと、人という文字が大きく書かれていた。
『…口寄せの術式!』
「ナルト!サクラ!その巻物を離せ!」
サスケの声で、サクラとナルトが巻物を投げた。
するとそこから口寄せされたのは…。
『い、イルカ先生!!』
「よ!久しぶりだな!」
ニコリと笑ったイルカは、時計を確認し、私達の合格を告げた。
ナルトははしゃぎ、サクラとサスケはへなへなと座り込む。
その様子を見てイルカは笑い、火影からの伝令と称し、壁に掛けられた文字の意味の説明を始めた。
天は人の頭、そして地は体を意味する事。
天無くば、智を識り機に備え。
地なくば、野を駆け利を求めん。
天地両方兼ね備えれば、どんな危険に満ちた任務も正道。
任務における知識の重要性、体力の必要性をさらに心得ろ。
「この"中忍心得"を決して忘れず、次のステップに進んで欲しい。
これが俺が仰せつかった伝言の全てだ!」
イルカに大きな声で返事をし、私達は立ち上がる。
そして、3次試験への会場へ足を進めた。
何とか、誰もかけることなく突破できた。
サスケの呪印と、彼を狙う大蛇丸。
そして私のセイレーンの力、謎の黒炎。
不安や嫌な予感がまだ消えることはない。
それでもまた一歩、私達は次のステップへ歩みを進める。
次の試験、何事もなければ良いのだけど。