第30章 中忍試験・絆
カブトは何やら道具を取り出し、手にチャクラを集め、リクに触れた。
「……何してる。」
「こう見えて僕は医療忍術を使えるんだ。
荒療治になるけれど、彼女を救うことはできる。
君達が薬を見つけてきて、毒を薄めていたお陰だよ。」
リクを救える。
確かにカブトはそういった。
「カブトの兄ちゃん!それほんと!?」
「ああ。だいぶ暴れると思うからね、君達はしっかりリクちゃんを押さえつけておいてくれ。…いくよ。」
そういったカブトは肺のあたりに手を置く。
そして俺たちは言われた通り、リクを押さえつけた。
『う、ぁあっ、ぐっ…あああ!!』
リクが痛みに耐えられずに叫びのたうち回ろうとする。
「おい!本当に大丈夫なんだろうな!?」
「大丈夫だから、しっかり押さえておいてくれ!あと少し!」
リクの叫びに心が痛む。
でも、リクがいなくなる方がもっと痛い。
「頑張るってばよ!リクちゃん!」
「リク!がんばれ!」
ナルトとサクラも、リクに必死に声をかけている。
サスケは目を逸らしたい気持ちでいっぱいだったが、しっかりとリクを見つめる。
そしてとうとう、カブトが肺のあたりから毒と思われるものを引き抜いた。
「ほ…っ。これでもうリクちゃんは大丈夫。死ぬ事はないよ。」
「本当か!?カブトの兄ちゃん!」
「ああ、この毒は肺や心臓あたりに溜まる性質があるからね。
試験が終われば、病院で診てもらった方が良いだろうけれど。」
カブトの説明を聞いて、もう一度彼女を見る。
明らかに違うところは、毒で苦しんでいる様子がないところだ。
「…助かった。」
「礼を言われるほどの事じゃない。同じ木の葉の忍として突然のことだよ。
まあ、完治ではないしね。」
カブトはフゥと息を吐き、満足げに笑った。