第30章 中忍試験・絆
サクラの知恵のお陰で、リクの顔色は随分と良くなったが、眼を覚ます気配はない。
ここを拠点に、何度か巻物を探しにいったが、ハズレばかり。
地の書しか持ち合わせていない状態でもう4日目の昼だ。
試験終了まで、あと25時間程度。
木の葉の連中と別れて直ぐリクは倒れ、その後の俺たちの勝手な戦闘の傷から、2日以上は治癒に当てた。
サクラが心配するように、天の書がないという可能性も、無きにしも非ずだ。
「いずれにしろ、次の敵がラストチャンスだな。」
小さく息を吐き、水を汲んでナルト達の元へと戻る。
すると其処には、もう一人。
敵かと思い一瞬構えたが、そいつは試験前に会話をしたカブトであった。
どうやらナルト達が巻物を開こうとしたところを止めてくれたらしい。
「…ったく、救いがたいな。」
「まあまあサスケくん。それより、もう一人の女の子はどこだい?確か、リクちゃん…だったかな。」
カブトに尋ねられ、木陰で眠るリクを指差す。
「毒グモに噛まれた。もう3日も眼を覚まさない。」
カブトに現状を述べると、ナルトもサクラも元気を失う。
助けたくても助けられない苦しさは、俺もナルトもサクラも同じだった。
「まさかその蜘蛛ってのはこいつかい?」
そういったカブトは、カードを俺達に見せる。
そこに描かれている蜘蛛の絵は、リクをこんなことにした蜘蛛と同じヤツだった。
「はい…。薬で何度か毒を薄めて、死を免れてる状態で…。」
「…そうか。サクラちゃん、君は凄いね。君のお陰で彼女は命拾いしている。
少し、リクちゃんを借りても良いかな?
大丈夫、変なことはしない。」
カブトの眼をじっと見るが、どうやら嘘ではないらしい。
第七班の了承を得たカブトは、リクの前で座り込んだ。