第30章 中忍試験・絆
「大丈夫よ。サスケくんとナルトが必ず持ってきてくれるから。」
苦しそうなリクに話しかける。
彼女が倒れた後、はじめに何か使えるものがないか、全員分の持ち物を確認した。
サスケもナルトも傷薬こそ持っているが、毒に関するものは何も持ち合わせていなかった。
サクラが持っていた解毒薬も、リクが持っていた解毒薬もダメ。
どんな薬草が効くかも分からない。
そんな中で見つけた、どの毒にも万能に使えるものだ。
それさえ持ち帰ってくれれば、少なくとも試験終了までは持つ。
「二人が帰ってきたら、私の出番。必ず助けるからね…!」
リクの手を握り、二人の帰りを待った。
「ここだってばよ!」
「…これを、持ち帰ればいいのか?」
ナルトと見つけた木は、なんとも毒々しい色をしていた。
樹液は紫色で…逆にこれを食べると毒に犯されそうな、そんな変な色。
「サクラちゃんが言ってたんだ、これでリクちゃんも助かる!」
ナルトが木の皮を剥がし、それを採り始める。
俺も同じ様にそれを取ろうとした時だ。
ナルトの手に忍び寄る、黄色いクモ。
「ナルト!手を引け!」
「ええ!?何だってばこいつ!どこにでもいるじゃねーか!」
ナルトはすぐさま手を引き、クモに怒鳴りつけている。
その様子を眉間にしわを寄せて見ていると、何やら人の気配を感じた。
「…ナルト、さっさと用事を済ませて戻るぞ。」
何処からか、見張られている。
いったい何者か、敵か、味方か。
…いや、味方などこのサバイバルにおいては班員だけ。
ならば敵襲だ。
「なあサスケ、少しサクラちゃんを待たしちまう事になるけど…。
いっちょ、やってみるってのはどーだってばよ?」
迎え撃つって事か…。
今この状態ならば、リクをかばう必要もない。
思い切り暴れまわる事ができ、運が良ければ巻物も手に入る。
「フン…初めて意見があったな。」
「よっし、やるってばよ!」
向かってくる敵に、ナルトとサスケは正面からぶつかりあった。