第30章 中忍試験・絆
サクラの髪の話をしていると、リーを無理矢理起こした女の人が、こちらにやってきた。
「うちのリーがお世話になりました!」
『い、いえ!助けてもらったのはこちらの方で…。
あ、あの!私は歌神リクです!
…お名前聞いても良いですか?』
「私?私はテンテン!そんでもって、あの後ろの男は日向ネジっていうの!
…そんな事より、その布貸しなさい?綺麗に直してあげる!すぐに終わるわ!」
リクがそれに答える前に、テンテンがその布切れを掻っ攫う。
そして、時空間忍術の一つであろうか、巻物から裁縫道具を呼び出し、服を縫い始めた。
『…ありがとうございます。テンテンさん。』
テンテンが「良いのよ」と言い、ニコリと笑った。
(…めちゃくちゃ良い人だ。それに、可愛い……。)
テンテンの手さばきに、自分が持ち合わせていない女子力を感じる。
キラキラと、珍しいようなものを見る目でテンテンを見つめていた。
「ちょっとサクラー!こっちー!
髪、整えてあげるからー!!」
「…お願いするわ。」
いのがサクラを呼び、二人は木の陰へと隠れてしまった。
サスケの事で喧嘩をしても、二人の絆は深いのだ。
その二人の姿を見ていると、ナルトが項垂れながら声をかけてきた。
「なーなーリクちゃん、俺ってば、蚊帳の外なんだけど…。」
『…ナルトくん、気絶しちゃってたから…。あとで全部話してあげる。』
自分が話についていけなくて悲しかったのだろうか、ナルトは少し不満そうな顔をしている。
それに、顔にはしっかり「リーさんの悪口を言うな」とサクラに殴られたあとが付いていた。
本当に、現状がわかってないのだろう。
『フフ…。ナルトくん、次はよろしくね!』
「お、おう!任せとけって!」
落ち込むナルトを励まし、何時ものように拳を合わせた。