第30章 中忍試験・絆
とりあえずなんでもいいからと、サクラはタオルを貸してくれた。
それとケープで、何とか隠すべきところだけは隠した。
『あ、ありがとう、サクラちゃん…。』
「礼を言う事じゃないわよ、こんなの。」
とりあえず、大きく6枚ほどの布になってしまった服の欠片を、サクラとともに拾う。
『…わ、わたし…恥ずかしくて死んじゃいそう……。』
「そーよ。あれこれ守りたいと動く前に、自分の事しっかり見てあげなさいよ!まったく…。」
『ごもっともです…。』
サクラのお叱りに反省していると、ナルトの叫び声が聞こえた。
振り返ると、シカマルとチョウジに起こされたらしい。
「みんな伏せろ」と騒いでいる。
そして自身もまた、ほふく前進をしているのだ。
その姿がおかしくて、サクラと顔を合わせて笑った。
「あいつ…まーだ大蛇丸とやってる気よ?」
『フフ…。ナルトくんらしい。第七班はこうでなくちゃ。』
「ま、そーね!」
やっと全員が目を覚ました。
やっといつもが戻った。
その事が嬉しくて、サクラと回収した布切れたちを持ち、サスケとナルトの元へと足を運んだ。
「あー!サクラちゃん!その髪…!」
その場へ行くやいなや、ナルトがサクラの髪の変化に気づく。
「あ、これね!イメチェンよ!
リクとお揃いなのよ、可愛いでしょ?」
サクラは無理に気を張り、ナルトに嘘をつく。
ナルトは納得しているが、サスケはどうだろうか。
…チラリと彼を見ると、サスケは嘘とわかっているようで、黙ってサクラを見ていた。
(サクラちゃんの覚悟は、ちゃんと胸に刻んだから…。)
無理に大声で笑うサクラの姿に、リクの心を何か熱いものが覆った。