第30章 中忍試験・絆
(…私たちが苦戦した相手を、こうもあっさりと…!)
目の前で繰り広げられる戦いに、驚きが重なる。
これが呪印の力かと。
そしてとうとう、ザクの背後をサスケがとった。
そのサスケの表情は、狂喜に満ちている。
リクの頭には、大蛇丸の言葉が浮かんでいた。
「サスケくんは必ず私を求める。」という言葉。
その時は嘘だと思ったけれど、彼の姿を目の前に、その言葉がループしていた。
そしてそれが現実となる予感がする。
私の嫌な予感はよく当たる。
怖い。
「…お前、この両腕が自慢なのか。」
サスケが口角を上げ、躊躇いなく腕と足に力を込める。
次の行動が予測でき、眼を剥いた。
(……ダメ。やめて、サスケ…!)
恐怖で固まった口からは、その言葉は出てこなくて。
ゴキッ…ボキッ…
ザクの腕が折れる音が、悲鳴が響いた。
それに満足したかの様に、サスケは更にニヤリと笑う。
「残るはお前だけだな…、お前はもっと楽しませてくれよ…。」
そう言って、サスケはターゲットをドスへと変えた。
まるで人を傷つけるのを楽しんでいるかのような、そんな風に見える。
(……こんなの、サスケじゃない!)
今まで固まっていた体をゆっくり動かす。
「リク…どこ行くの?」
サクラに問われても、答える余裕がリクの頭にはなかった。
ただ、闇に染まるサスケを連れ戻したい。
…サスケを返して。
その思いで、ふらつく足をサスケの元へと運んだ。