第30章 中忍試験・絆
「…サスケくん、その体…。」
呆然とする私の代わりに、サクラがが尋ねた。
「心配ない…。それどころか力がどんどん溢れてくる。今は気分がいい…。」
そう言って、サスケはニヤリと笑う。
少なくとも、彼は敵を目前に、狂喜に満ちた目をする人じゃないはずだ。
なのに今は…。
あまりにも変わり果てたサスケの姿に、涙が頬を伝った。
「あいつがくれたんだ。…俺はようやく理解した、俺は復讐者。
たとえどんな悪魔に身を委ねようとも、力を手に入れなきゃならない道にいる。」
復讐と力…
それが今の彼を動かしている。
知っていた。
彼が誰かを殺すために忍者になり、力を求めていることも。
それでも、今まで普通に二人で生活してきて、ここまで復讐を強調する彼は見た事がなかった。
サスケがこうなったのは、呪印のせい。
いや、私のせいだ。
私が守れなかったから。
大蛇丸からも、そして呪印からも。
この時、私は「力を求めて私を求める」と言って去っていった大蛇丸の言葉が妙に頭から離れず、ループしていた。
「さぁて、お前だったよな。」
固まるリクの頭にポンと手を置いたサスケは、音の三人衆を睨みつける。
サスケのチャクラに、背筋が凍った。
(チャクラが大きすぎる…!それにこの感じ…大蛇丸の……。)
本当に、サスケなのか疑うほど冷たいもの。
だけど、頭の上に乗せられた手はいつも様に温かくて。
どれが本当のサスケの心なのか、分からなかった。