第30章 中忍試験・絆
ゆらりと立ち上がったサスケに、一度は安堵する。
しかし、嫌な気配もまた混じっているのは確かだ。
それでもサスケは生きている。
呪印に打ち勝ち、そこに立っている。
そのことが一番、安心する。
『サスケ!目が覚め……!?』
振り返り、驚愕する。
周りもまた、同じような反応を示す。
「…リク……。誰だ、お前をそんなにした奴は…。」
サスケの体は、呪印の紋様が広がっていた。
恐ろしい気配、嫌な気配の原因はそれだった。
「サクラにも…どいつだ…!」
驚きで声も出ないリクとサクラの代わりに答えたのは、ザクだ。
「オレらだよ!」
サスケは鋭く睨みつける。
禍々しい気配に皆が怯える中、一人ヘラヘラと笑うザク。
そんな態度を取っていられることが、逆に尊敬するほどに、サスケから放たれる力は恐ろしいものだった。
そのサスケの力に驚きを隠せないのは助けに来てくれた皆も同じ。
いのは直ぐに心転身の術を解き、またリーを連れ、草叢に隠れた。
「……ねぇ、本当にサスケくんだよね…?」
サクラがリクに震える声で尋ねる。
それにすら答える余裕がないほど、リクは驚きと恐怖でいっぱいだった。
サスケがサスケじゃないみたいで。
サスケの意志が、呪印に侵されているようで。
冷たく恐ろしいチャクラが肌をピリピリと焼く。
『…こんなの…サスケじゃ、ない。』
優しいサスケはどこ?
暖かい目をもったサスケはどこ?
私の手を包んで、微笑んでくれるサスケは…
どこなの…?