第30章 中忍試験・絆
「サスケくんの前で、あんたたちばっかりいい格好はさせないわよー!」
「ま、そーゆー事だ。めんどくせーけど、リクがそんな状態なのに見過ごすなんて、男として許されねぇよな。」
いのは、私とサクラに「サスケを頼む」と言い、敵を見据える。
そしてまた、シカマルとチョウジも。
ザクにデブと称されて、キレたチョウジを含め、フォーメーション猪鹿蝶が展開される。
チョウジは肉弾戦車でザクを追い詰める。
ザクとチョウジの相性が悪いと判断したドスが、そこへ割り込もうとするのを、シカマルが影真似の術で止める。
そして仕上げにとして、いのがキンに心転身で精神を乗っ取る。
さすが猪鹿蝶、素晴らしいコンビネーションだ。
だけど、最後の一手は彼らには通用しない。
「あんたたち!一歩でも動いたら、このキンって子の命はないわよー!」
いのが乗っ取った身体でクナイを首にあてる。
しかし、その姿を見て、ドスとザクはニヤリと笑うのだ。
「…やばい!そいつらは!」
サクラの叫びを、いのが頭で処理し終わる前に、ザクが空気砲でキンの身体を吹き飛ばした。
『…酷い!仲間なのに…。』
仲間を大切にしないなんて。
彼らはクズだ。
非道な行いに苛立ちが抑えきれず、リクは思わず叫んだ。
『あなたたち…本当に、仲間をなんだと思ってるの!?』
しかし、彼らに私たちの常識など通用しなかった。
ただ、ニヤニヤと笑うだけ。
「仲間…?僕たちの目的は、サスケくんだよ。」
『…サスケを殺す為に、仲間なんてどうでもいいと。』
「クックッ…まあ、ね?」
ドスが笑いながら答える。
腹が立って仕方がないが、ビンタの一発もできない自分に悔しさが募り、噛みしめた唇からは新たに血が流れた。