第30章 中忍試験・絆
突然に意識が浮上し、私は目を開いた。
目を動かし周りの様子を確認すると、隣で眠るナルトとサスケ。
そして、外を見張り続けるリクの姿が映った。
「…ごめん!寝ちゃってたみたい!」
『ううん、大丈夫だよ。』
そうやってニコリと笑うが、彼女は目の下のクマが広がっている。
初めの雨の忍、そして大蛇丸と激しく戦闘した上に、多くの傷を負い、敵の感知も行っている。
そして、サスケとナルトがこの状態で精神的にも疲労しているはずなのに。
私なんかより、疲れているはずなのに。
それなのに私にケープをかけて、起こす事なく休ませてくれた。
「どれぐらい寝てた?」
『いや…そんなによ。もう少し寝てても大丈夫だよ。』
そう言いながらも、外はだんだんと明るくなり始めていた。
休み始めたのは確か、暗くなり始めた頃だ。
「いや、代わる。リクこそ休んで?」
『サクラちゃん…。敵が来たらすぐ起こしてね。』
「うん、だから安心して?」
『ありがとう。じゃあ少しだけ、休ませてもらうね…。』
そう言うと、リクは笑い、目を閉じた。
見張りを交代し、この役がどれだけ重要か再確認させられる。
気を失い眼を覚まさないナルト。
苦しそうに眠るサスケと、その側でしっかりと手を握りながら、うつらうつらとするリク。
そんな三人を敵から守るため、危険があればリクに知らせるため。
(……ねちゃダメ。さっき休ませてもらったじゃない。
私が三人を、守らなきゃ!)
サクラは眠い眼をこすって、すっかりと明るくなった森を見張り続けた。