第29章 中忍試験・死の森
サスケは右手に風魔手裏剣、左にクナイ。
そして口にもクナイを咥え、構える。
まず、蛇のように幹を這う奴にクナイを投げつける。
次に、逃げた先に手裏剣を投げる。
そうやって次の手で相手の回避するであろう場所に、先に仕掛けておき、口に咥えていたクナイを投げた。
そして、口に咥えた糸で、手裏剣を操作し、相手の首を狙う。
「これは…写輪眼操風車、三ノ太刀!」
木の幹と糸、そして写輪眼を巧みに操り攻撃を仕掛ける様は、さすが天才、うちは一族と称すべきだろう。
背後から襲ったその手裏剣を、奴は口で捉え、回避する。
しかし、サスケの攻撃はここでは終わらない。
「火遁・龍火の術!」
サスケの口元から放たれた日は、糸を伝い、奴の顔を焼いた。
直撃だった。
「やった…?」
サクラが呟いたところで、リクはサクラに合図し、二人でサスケのところへ向かった。
『サスケ…!』
少しフラついたサスケを支え、にこりと笑う。
するとサスケも同じように笑い返してくれた。
「その歳でここまで写輪眼を使いこなせるとはね…。
さすがウチハの名を継ぐ男だわ…。
やっぱり私、君が欲しい。」
その声にゾクリと背筋が凍る。
…あれを食らって、まだ生きている。
奴は、不気味だ。
顔の皮が溶けて、その下に真の顔を晒す。
『…蛇の脱皮にしか見えないわね。きもちわるい。』
冗談を言ってる場合ではないけれど、思わず口から本音が出た。
その瞬間だった。
(…金縛!?動けない!!)
目があった時にかけられたようで、動けないのは、二人も同じであるようだ。
戦闘前のあの死のイメージが蘇る。
(…みんなを守るにはどうしたら…!?)
守る方法は一つだけ、ある。
この金縛を解く方法だ。
…口は、動く。
(カカシ先生…ごめんなさい。約束、守れそうにありません。)
ルールや掟を守らない奴はクズだ。
けれど、仲間を大切にしない奴は、それ以上の、クズだ。
強い意志と決意の元、リクは口を開いた。