第29章 中忍試験・死の森
その草隠れの忍は、地の書を持っていた。
それを丸ごと飲み込む姿は、まるで獲物を喰らう蛇のようだ。
「さあ、始めようじゃない…。巻物の奪い合いを……命がけで。」
目が合う。
その瞬間、一気に恐怖で体が震える。
体がズタズタに切り裂かれる。
大量の攻撃を受け、血飛沫が舞う。
とどめの一撃として、額にクナイを喰らい、私達は死んだ。
…はずだった。
でもそれは幻術でもなんでもなく。
ただの、あいつの殺意。
目を見るだけで、死をイメージさせられたのだ。
隣のサスケは嘔吐し、サクラは腰が抜けて呆然としている。
私ですら、気を失いかけるほど。
『……サスケ、春野さん…。』
声をかけても返事はない。
恐怖に怯えているのだ、二人とも。
(ダメだ…。この状態じゃ…逃げなきゃ!)
本能が、"こいつは危険、逃げろ。"と訴える。
不幸中の幸いとでも言っておこうか、冷静さをかけた頭でも、体は少し動く。
「クク…もう、動けまい。」
そう言った奴は、ニヤリと笑い、今度こそ本当にとどめのクナイを投げてきた。
(誓ったじゃない…。例え私が犠牲になったとしても、みんなを守るって!)
目に写輪眼を宿す。
そして、今度こそ本当に額を目掛けて飛んでくるクナイを見切った。
(動け!私は…二人を守る!)
リクは震える足に思い切りクナイを突き刺し、サスケとサクラを抱え、身を隠した。