第29章 中忍試験・死の森
先程の雨隠れの襲撃により、合言葉を決める事にした。
変化で仲間に化けられる可能性を考え、すぐに信用しないためである。
用いた合言葉は、サスケの提案で忍歌なるもの。
タラタラと長い文章に、サクラは自信満々に頷く。
それとは対照的に、ナルトは全く覚えられないといった感じである。
「巻物は俺が持つ!」
そう言って、サスケが立ち上がったちょうどその時。
人を吹き飛ばすほどの突風に襲われた。
「新手か!?」
リクはサスケとだけは離れまいと、彼の服を掴む。
そして、風が治ったところで地面へと着地した。
『…っ。やっぱりきたね。』
「ああ…一応聞いておく。"忍機" 」
サスケの問いに、ツラツラと応える。
良しと頷かれ、笑顔で返した。
『…こんな忍歌よりもさ、サスケの好きなモノ嫌いなモノ、サスケの秘密とか言った方が信じてもらえた気がするな。
例えばさ、サスケとの出会いを一から全て話すとかさ?
あ、性格について批評するのも良いね!』
「分かったから。何も言うな。」
何年もサスケといると、彼の秘密ぐらいかなり知ってる。
もちろん、言われては困るような事だって、少しは。
そんな困り顔のサスケにVサインをした。
しばらく草陰に身を隠していると、現れたのはサクラ。
「サスケくん!歌神さん!」
サスケが近寄らせずに、"忍機"と問うと、サクラは止まる事なく最後まで述べた。
『流石は春野さんね!』
「暗記に関して、私をなめてもらっちゃ困るわよ?」
得意げに笑うサクラに、リクも笑って返した。