第29章 中忍試験・死の森
アンコから渡されたのは同意書。
ここから先は死人も出るとのこと。
そのための同意書である。
そして二次試験は、五日間のサバイバル。
いわゆる、巻物争奪戦だ。
合格の条件は、天と地の巻物を揃え、制限時間内に班員全員で中央の塔へたどり着くこと。
途中のギブアップは一切なしで、巻物の中身は決してみてはならない。
また、班員が欠けた班は失格…らしい。
「最後に一言アドバイス…死ぬな!」
アンコの説明を一通り聞き、順に同意書と巻物を交換する。
リクは列に並びながら、同意書をじっと眺めていた。
死人が、出る。
班員は必ず守りたい。
たとえ自分が死んで、失格になったとしても、班員は誰も殺させない。
そんな決意は胸の内にある。
だけど、ものすごく嫌な予感が消えることがなかった。
不安で、同意書をクシャッと握った。
「リク、不安か?」
『…まあね。この試験、嫌な予感しかしないの。』
「大丈夫よ、歌神さんは強いし!」
「ぜーんぶ俺に任せとけって!」
『……ありがとね、みんな。』
不安がる私を励まそうと声をかけてくれる。
サスケは背をポンと叩いてくれる。
それだけで少し、緊張が解けた。
優しくて、私にとって家族のような第七班。
何もなかった私が、家族がいればきっと…と重ねるほど、みんなを信頼していて、みんなが好き。
だから、絶対失いたくない。
誰も殺させやしない。
私がみんなを守るんだ。
四人分の同意書と、巻物を交換する。
私たちは天。サスケが持った。
そして、スタート位置は12番ゲート。
『…みんなは必ず、私が守るから。』
その決意をもう一度言葉に出して確認し、前を向く。
絶対、絶対。守る。
「これより中忍選抜第二の試験!開始!」
アンコの合図で、第七班はゲートをくぐった。