第29章 中忍試験・死の森
連れてこられた場所は、フェンスで囲まれた不気味な森の前。
受験者たちは息を呑む。
「ここが第二の試験会場。第44演習場…。通称、"死の森"よ!
ここが死の森と呼ばれる所以、すぐに実感する事になるわ。」
なんか色々とやばそう。
…という語彙力のない感想しか言えないリクだが、あまり緊張と言うものはなかった。
だが、この演習場に、"死の森"という名がついた所以はよく分かる。
「"死の森と呼ばれる所以、すぐに実感する事になるわ" …なーんて脅しても全然へーき!怖くないってばよ!」
アンコの言葉をナルトが真似する。
そのナルトに向かい、アンコがクナイを投げ、ナルトの頬に血が滲んだ。
「あんたみたいな子が、真っ先に死ぬのよね…フフ。
私の好きな赤い血、ブチまいてね♡」
ナルトの頬のそれを、舐めながらアンコが話す。
(…こんな人だったんだ、団子屋のお姉さん。)
イメージ違いの発言に、苦笑いしていると、悍ましい殺気を感じた。
(なに、あいつ…。草隠れの。それにアンコさんからも殺気…!?)
急いで2本のクナイをホルスターから取り出し、殺意剥き出しの舌の長いヤツとアンコに向ける。
「クナイ…お返ししますわ。」
「わざわざありがと。でもね…殺意を込めて私の後ろに立たないで。
…そこの、団子好きの女の子もよ。
早死にしたくなければね。」
団子好きの女の子と言われ、自分だとわかる。
知っていたのかと思うと同時に、アンコの私に向けられた殺気を感じ、クナイをなおした。
そして、殺意剥き出しだったヤツは元に戻っていった。
「なによ…ヤバいやつらばっかりじゃない。」
少し震えるサクラはサスケの後ろに隠れ、サスケもまた何時もより大きく眼を開いていた。
リクはアンコから解放されたナルトとともに、班員の元へ戻った。
『サスケ、春野さん、ナルトくん。この試験、絶対無理はダメ。特に今の人。』
嫌な予感がした。
あの、草隠れの忍者。
私の嫌な予感はよく当たる。
無茶な行動はしないように、班員に一言告げた。
そして先ほどとは一転、リクは嫌という程の緊張感を覚えたのだった。