第29章 中忍試験・死の森
森を歩くと、早速悲鳴が聞こえる。
「…な、なんか緊張してきた。」
「ど、どーってことねーってばよ!サクラちゃん!」
ナルトはそういうが、どうってことない訳がない。
実際ナルトもそれを理解しているようで、額に汗がにじんでいた。
いつどの方向から敵が襲ってくるかわからない。
敵と遭遇し、巻物を奪ったとしても、それが対になるものとは限らない。
出会ったすべてが、敵。
これこそ、究極のサバイバルと言ってもいいだろう。
「リク、この班で一番感知が得意なのはお前だ。」
『わかってる。任せて。』
先に相手を感知し、それを仲間に知らせるだけで、被害は圧倒的に小さくなる。
チャクラの感知と気配の感知。
同じような感じかもしれないが、リクにとっては別物。
どちらかというと、気配の感知の方が得意だ。
…なんたって、自分自身が気配を消すのが得意なものだから、コツのようなものが分かるのだ。
リクは少しでも敵を早く見つけようと、同時にそれらを行おうと試みた。
多種多様な生物がいる中、ライバルだけを探し当てて特定する。
それには、神経を研ぎ澄ませ、動かなければならない。
かなりの体力を消費するが、仲間を守れるならそれでいい。
サスケの信頼にも応えるために、リクは感知を始めた。
「…俺ってば、ちっとしょんべん…。」
張り詰めた空気の中での突然の発言で、思わずナルトの方に振り返る。
なんと、緊張で尿意が近くなったのか、ナルトはその場でズボンをずらしたのだった。
『ち、ちょっと!ナルトくん!?』
陰にも隠れないナルトに衝撃を受けすぎて、思わずサスケの後ろに隠れた。
「レディの前で何晒そうとしてんのよ!草陰いきなさいよ!バカ!」
サクラのげんこつを食らい、ナルトは草陰に身を隠した。
「…ったく、ウスラトンカチが。」
サスケが「もう大丈夫だ」と合図する。
それに安心して、サスケから離れた時だった。
…何かが近づいてくる気配。
『…サスケくるよ。』
耳元で一言告げると、サスケはすぐに気を入れた。