第28章 中忍試験・覚悟
教室にどよめきが走る。
当然、そうなる。
あれだけ追い詰められ、崖っぷちの選択を強いられたにも関わらず、こうもあっさりと合格を言い渡された。
「ちょ…ちょっとどういう事ですか!?
いきなり合格だなんて!10問目の問題は!?」
サクラが下忍を代表してイビキに問うた。
そして、この試験の本意を知らさられる。
まず9問目までの問題は、強力なプレッシャー、そしてカンニング。
そんな中での個人の情報収集能力を試すもの。
イビキがバンダナを取り、合格者の前で頭部を晒す。
そこには火傷、ネジ穴、大きな切り傷。
…拷問の跡だ。
その傷ましい姿に、会場にいる殆どが息を呑んだ。
「情報とはその時々において、命より重い価値を発し、任務や戦場では、常に命がけで奪い合われるものだからだ。」
カンニングが気づかれた時点で、その情報は正確でなくなる。
だから、それが出来ない者を蹴落とすための試験だったと。
そしてもう一つ、10問目こそが第一の試験の本質だという。
中忍とは、部隊長レベルだ。
どんな逆境に立たされたとしても、回避できない任務もある。
その時に、ここ一番で仲間に勇気を示し、苦境を突破していく能力。
それを持つものを、その覚悟のあるもよを選ぶための問題であったのだ。
『なるほど。中忍試験、考えられてるわね、ちゃんと。』
イビキが言う事は全て的を射ていた。
教えを胸に、もう一度、中忍試験への決意を固めた。
「君たちの健闘を祈る!」
イビキがニカリと笑い、一次試験は終了した。