第28章 中忍試験・覚悟
(フン…成る程な。こんなの一問たりともわからねぇ。オマケに何だよこの10問目は…。)
第10問目は開始45分で指示があるとか。
意味がわからないものだった。
サスケは辺りを見て、試験官を確認する。
この試験官の多さ、まるで全員がカンニングすると決め込んでいるかのようだ。
嫌な手口だと思いながらも、何かヒントを得ようとイビキの言葉を反復する。
イビキの言葉はこうだ。
「無様なカンニングなどを行ったものは、自滅していくと心得てもらおう。
仮にも中忍を目指すもの。
忍なら、立派な忍らしくするんだな。」
無様なカンニングは自滅…
立派な忍びらしく…
(ちょっと待てよ…!そういう事か!早く気付けナルト!)
これはタダのペーパーテストじゃない。
知力を見る為だけじゃない。
カンニング公認の、偽装・隠ぺい術を駆使した情報収集戦でもあったんだと。
そうと分かれば、早速行動を起こす。
すると、斜め前のリクの指が動いている。
何かのサインらしく、その指の動きをじっと見る。
(こ、ぴ、い、わ、た、し…?)
…写輪眼でリクの動きをコピーしろと言いたいのか。
鉛筆で何回か机でコツコツと音を立てると、俺が気付いたという事が分かったようで、リクの指が止まる。
そして、リクは紙に答えを書き始めた。
その動きを、写輪眼でコピーする。
すると、スラスラと腕が動き、止まる事なく、第9問まで解き終わった。
…完答だ。
(念の為、2、3人コピーしてみるつもりだったが…。逆に何が出来ねぇんだよ。最高だな、お前。)
サスケはグッと小さく親指を立てる彼女の後ろ姿を見て、ニヤリと笑った。